円楽に見る「いい謝罪会見・悪い謝罪会見」
正しい「不倫釈明会見」のあり方とは? 生き残る芸能人のすごい処世術⑥
けむに巻くのが芸人としての腕
それからしばらくして、正月のハワイ芸能人取材をやっていたホノルル空港に、もうバリバリに売れていた楽太郎が姿を見せた。そこで「ハワイ到着のインタビューを」とお願いすると、「城ちゃん、久しぶりだねぇ。でもオレなんざぁ、ハワイって柄じゃないから取材しなくていいよ」という返事。そこを拝み倒すようにしていると……。
「城ちゃん、今日、ヒマなんだな?」
「ええ、あまり芸能人が来なくて、出来高が良くなくて……」
ようやくカメラの前で話してくれることになったのだが、ハワイのことには答えずに「そうそう、あのイケメンのディレクター、偉くなっちゃってさぁ……」と共通の知り合いの話題を切り出し、失敗談やフラレ話など僕らだけにわかる大爆笑の話を続けていく。
ちょっと放送できないような内容ばかりで、こちらは大声で笑いっぱなしだが、やはり使えない。
で、彼はうれしそうな顔で「なっ、放送できないだろ。でも、面白かっただろう」とニヤリ。
要は、売れたから正月にハワイなんて、彼にとってはカッコ悪くて見せたくはない。しかし、昔からの知人が声をかけてくれたのだから、満足するくらい笑わせてやるという心意気なのだ。
上司になれば、部下の失敗の責任を負うことも仕事になる。その際、円楽なら謝罪の場で強さを発揮するだろう。
最近、同じように女性問題で話題になった狩野英孝に会った。彼は「自分はマスコミ被害者の会だ」と言い出した。僕は「取材されたら、まずその記者とカメラマンを笑わせなきゃ」と提言したのだが、「語れないことが多くて……」と黙ってしまった。
そこをけむに巻くのが芸人としての腕だろう。円楽を見習ってほしいと言いたくなった。
(『生き残る芸能人のすごい処世術』より構成)
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